四百年の恋
***


 「センセー、質問でーす」


 新・紅陽学園は私立高校なので、カリキュラムは公立よりも自由が利いており、三年次の社会科の授業は受験対策で。


 夏休みまでに世界史と日本史の復習として、二年次までに習った内容のおさらいをする。


 この日は「日本史演習」というカリキュラムで、日本史の復讐を行なっていた。


 学習内容を古代史から現代史までざーっと振り返って、受験に出そうなポイントを再確認していく。


 ただこの「三年一組」には、学園きっての有名人兼天才児兼問題児である清水優雅がいるので、圭介は授業中かなりの緊張を強いられた。


 嫌がらせではないのだけど、教科書の内容を「絶対~だ」などと断定すると、


 「センセー。最新の研究では、それを覆すような説も出ているよー」


 と指摘が飛んで来る。


 どこからともなく、学会の最新情報を入手しているようだ。


 情報量は教師陣よりも豊富なくらい。


 「あ、清水。何かあったか?」


 (今日は何を突っ込まれるだろう?)


 清水がニコニコしながら手を挙げているのを見るたびに、圭介は緊張する。
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