四百年の恋
 「だって、これまでに話はあったものの、私たちの代には卒業後の話でしたし。全然心の準備ができてなかったんですから」


 「そうだよな。先生も最初びっくりしたんだから」


 「男子と一緒に勉強するのは、小学校以来でなんか落ち着かないです。それに」


 「それに?」


 「私の隣の席の男子、あまりに変わり者すぎて、こっちまでペースが狂います」


 「清水のことか」


 「はい。ですが席替えまでの辛抱ですし。宇宙人がそばにいると思って、しばらくは我慢しています」


 「う、宇宙人?」


 圭介は思わず吹き出してしまった。


 「ずいぶんな言い様だな」


 「だって……訳分からないんですよ、あの人。落ち着きはないしうるさいし。忘れ物が多くて、隣の私が迷惑だし。なのに成績は」


 困惑し切った表情で、美月姫は一気に述べた。


 毎回トップのこの美月姫を押さえて、あの清水がトップなのだから分からないものだ。


 いつ勉強しているんだか、実に謎。


 今のところ美月姫は清水に対し、好意の欠片すら抱いていないようで、少し安心した圭介だった。


 (だけど、前世からの因縁があるのならば……)


 この美月姫はいずれ圭介の手元から、あの清水の元へ旅立ってしまう。


 今の時点では、とても信じられないのだが。
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