四百年の恋
「それは……。例えばどんな点かな?」
美月姫の口から、次にどんな言葉が飛び出すか。
圭介は緊張しながら待っていた。
「姫君は婚約者を失って、その兄であり仇ともいうべき殿様の側室になることを余儀なくされました。それは確かに気の毒だと思うのですが」
「そうだな」
「だからって自殺という道を選ぶのは、どうかと思います。おかげで周囲は大迷惑したんですから」
「迷惑?」
「そうです。姫の身勝手な行動ゆえ、姫の死後、実家の両親や恩義ある叔父夫婦たちが相次いで自害に追い込まれていますよね」
「一族揃って、責任を感じたようだな」
「姫自身は、愛を貫いて死を選んだ……などと悲劇に酔っているのかもしれませんが、その短絡的な行動により、迷惑が及ぶ人たちのことをもっと考えるべきだと思いました」
「悲劇に酔っている、か」
「だって、お腹の子供まで運命を共にしちゃったんですよ」
圭介はそういう風には考えたことがなかったので、意外な意見だった。
「それに、姫はそんなに死に急ぐ必要があったのでしょうか。そのまま強く生きていれば、殿に大切にされて幸せな生涯を送ることができたかもしれないのに」
美月姫の口から、次にどんな言葉が飛び出すか。
圭介は緊張しながら待っていた。
「姫君は婚約者を失って、その兄であり仇ともいうべき殿様の側室になることを余儀なくされました。それは確かに気の毒だと思うのですが」
「そうだな」
「だからって自殺という道を選ぶのは、どうかと思います。おかげで周囲は大迷惑したんですから」
「迷惑?」
「そうです。姫の身勝手な行動ゆえ、姫の死後、実家の両親や恩義ある叔父夫婦たちが相次いで自害に追い込まれていますよね」
「一族揃って、責任を感じたようだな」
「姫自身は、愛を貫いて死を選んだ……などと悲劇に酔っているのかもしれませんが、その短絡的な行動により、迷惑が及ぶ人たちのことをもっと考えるべきだと思いました」
「悲劇に酔っている、か」
「だって、お腹の子供まで運命を共にしちゃったんですよ」
圭介はそういう風には考えたことがなかったので、意外な意見だった。
「それに、姫はそんなに死に急ぐ必要があったのでしょうか。そのまま強く生きていれば、殿に大切にされて幸せな生涯を送ることができたかもしれないのに」