四百年の恋
＊＊＊


　｢㈱オフィスC-water……｣


　圭介は職員室の自分のデスク上、パソコンで検索サイトを開き、そんな文字を打ち込んでみた。


　先ほどの面談で、清水が家庭環境の話題を妙に避けていたのがちょっと気になったのだ。


　(何か触れられたくないことでもあるのだろうか)


　そこで圭介は、まず清水の母親の会社をインターネットで検索してみた。


　清水の母親が代表取締役を勤めている、その会社は。


　C-waterとは、｢清水｣を英語にした、clean waterの略のようだが……。


　｢え……？｣


　(株)オフィスC-waterを検索して、いくつか出てきたURLの一番上に表示されたものをクリックしてみると……。


　｢キャバレー？｣


　出てきたのは、オフィスC-waterが経営しているとみられる｢お店｣のいくつかだった。


　住所は、函館市内の歓楽街。


　かなり高級そうなキャバレーだった。


　｢夕映霞(ゆうばえがすみ)って……｣


　圭介はキャバレーの公式サイトを眺めながら、その店名を口にした。


　近郊に住む人間なら、一度は耳にしたことのある店の名前。


　代表取締役である清水の母親は、そのキャバレーのママだった。
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