四百年の恋
 「色々ややこしいので、合併の際は口止めされていたのですが、担任である吉野先生には伝えておいたほうがいいと考えまして」


 「ほんと分かってよかったです。数々の疑問が一挙に解決しました。情報ありがとうございました」


 「どういたしまして。大変だとは思いますが、頑張ってくださいね」


 ……先輩教師が去った後、圭介は一人であれこれ考えた。


 (これで、点と点が繋がって線になった)


 いくつかの謎が解けた。


 「将来を自由に選べない」


 清水の言葉を思い出した。


 あきらめたような、いや最初から何も期待していないような冷めた口調。


 圭介も居住する北海道南部のこの選挙区は、政権与党の幹事長を務める丸山乱雪の地盤。


 丸山は現在幹事長を務め、陰の総理とも称されるだけの実力者である。


 地元での権力は絶大。


 選挙も、始まる前から結果が判っていて何も面白くないと圭介は以前からぼやいていたのだが。


 (野党は負け戦を回避して、対立候補を擁立してこないほどだった)
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