四百年の恋
 (また清水か!)


 この日は毎週月曜日恒例の、全校集会。


 高等部の全生徒が大礼拝堂に集められ、司祭のお話しを拝聴する。


 キリスト教(正教)系の学校なので、宗教について学ぶのが必修なのだ。


 確かに司祭のお話は、ありがたい内容なのだが……、ありがたすぎて眠気を催す輩も。


 この日の圭介は、決して寝ていたわけではない。


 ぼーっとしていると、魂が浮遊しているかのようにどこかに飛んでいた。


 まさに、心ここにあらず。


 その時、背後の席に座っていた清水優雅が突然圭介の耳元で囁いてきたので、びっくりして飛び上がったのだった。


 すぐに我に返った。


 (誰かが救いを求めていたような気がしたけど……?)


 周囲を見回しても、司祭の話を黙って聞いている生徒ばかりだった。
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