四百年の恋
***
五月半ばの日曜日。
この日は定期テスト期間中につき、部活動も全てお休みとなった。
久しぶりの完全オフなので、圭介は一人でドライブ。
無人の助手席。
特定の女性を乗せたい気持ちは、あの日以来湧いて来ない……。
春の海を眺めながら一時間くらい車を走らせて、福山城博物館を訪れた。
「吉野くん! 久しぶりですね」
現在この博物館には、大学の同期であり「月光姫~」の著者であるオタクこと明月一葉(めいげつ いちよう)が主任研究員として勤務している。
業務の傍ら好きな研究に励むことのできる、彼にとってはこの上なく喜ばしい職場だ。
「今日も一人ですか。事前に連絡いただけたら予定空けておきましたのに」
オタクは来客の予定が入っていたので、圭介は先に一人で博物館内を回ることにした。
入場券をもらい、展示コーナーに足を踏み入れる。
幾度となく訪れてはいるが、その都度展示物の種類や順番が入れ替わっているので飽きない。
この博物館の一押しは、何と言っても「月光姫」関連。
一時は歴史の中に埋もれかけていたが、18年前のあの事件をきっかけにオタク男は熱心に調べ直し。
史料の再発見も相次ぎ、今ではかなり多くの展示物で飾られている。
五月半ばの日曜日。
この日は定期テスト期間中につき、部活動も全てお休みとなった。
久しぶりの完全オフなので、圭介は一人でドライブ。
無人の助手席。
特定の女性を乗せたい気持ちは、あの日以来湧いて来ない……。
春の海を眺めながら一時間くらい車を走らせて、福山城博物館を訪れた。
「吉野くん! 久しぶりですね」
現在この博物館には、大学の同期であり「月光姫~」の著者であるオタクこと明月一葉(めいげつ いちよう)が主任研究員として勤務している。
業務の傍ら好きな研究に励むことのできる、彼にとってはこの上なく喜ばしい職場だ。
「今日も一人ですか。事前に連絡いただけたら予定空けておきましたのに」
オタクは来客の予定が入っていたので、圭介は先に一人で博物館内を回ることにした。
入場券をもらい、展示コーナーに足を踏み入れる。
幾度となく訪れてはいるが、その都度展示物の種類や順番が入れ替わっているので飽きない。
この博物館の一押しは、何と言っても「月光姫」関連。
一時は歴史の中に埋もれかけていたが、18年前のあの事件をきっかけにオタク男は熱心に調べ直し。
史料の再発見も相次ぎ、今ではかなり多くの展示物で飾られている。