四百年の恋
 ……昨夜の飲み会での同期との会話を、思い起こしているうちに、慰霊祭は終わりを告げていた。


 圭介は帰り際、出席していた真姫の両親に挨拶をした。


 18年前、真姫が死を選んだ時。


 捜査関係者はそれを、「福山がいなくなったことにたいして絶望した」と決め付けた。


 (福山への未練が消えず、俺のそばにいることに重荷を感じて……)


 自分の強引な愛し方が真姫を追い詰めたのだと、圭介は自らを責め続けた。


 真姫を死に追いやったのは自分だと。


 だけど真姫の両親は圭介に、自分を責めるのはやめるようにと諭した。


 誰のせいでもない、と。


 その一言に圭介は救われたような気がした。


 慰霊祭で顔を合わせるたびに、圭介は忘れず真姫の両親に挨拶した。


 「真姫のことは忘れて、吉野くんもどうか幸せに……」


 真姫の両親からもそう懇願された。


 にもかかわらず18年が経った今でも、真姫への想いは消えない。
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