四百年の恋
***


 週明け、月曜日。


 この日は早出当番でもなく、早く出向いての雑務もなかったため、圭介は生徒の登校時間とほぼ同時間帯に出勤した。


 生徒の波の中を車で通り過ぎるのは危ないので、人通りの少ない道を選び、裏口から学校内に入って駐車場に車を停めた。


 荷物を手に取り、車をロックして、校舎内へと向かおうとした時。


 「よ、吉野先生、大変です!」


 職員用靴箱の手前で、用務員のおじさんに呼び止められた。


 振り返るとおじさんは、顔色が真っ青。


 「どうかしましたか? 生徒が何か……」


 「た、大変です……! ウサギ小屋が!」


 「ウサギ小屋?」


 用務員に連れられて、圭介は生徒玄関脇のウサギ小屋へと向かった。


 茫然と小屋の前に立ち尽くしているのは、清水優雅。


 「清水じゃないか。いったい……」


 呼びかけて近寄った時、気がついた。


 ウサギ小屋は荒れ果て、何匹かのウサギの死体が……!


 「ひどい……」


 通りかかった生徒たちが、何事だろうと寄って来て、目にした光景に絶句する。


 その中に美月姫の姿もあった。
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