四百年の恋
 ……。


 「あらー。酔っ払ったみたい」


 あらゆる種類のアルコールを福山に勧めている間に、真姫自身もかなりの量を飲んでいた。


 しかも様々な種類を次々飲んだので、胃袋がパニックになっているらしく。


 (なんか気持ちが悪い)


 目が回る。


 「大丈夫?」


 「平気平気。歴史科最強のこの私が、これくらいで……」


 「震えてるよ」


 「んー、もう秋で寒いからかな。あらっ」


 歩道と花壇の段差につまづいて。


 真姫はよろめいて、街路樹にもたれかかった。


 「危ない」


 崩れ落ちそうな体を、福山が支えてくれた。


 (私としたことが、不覚……)


 ひどくなるめまいに、真姫は後悔していた。


 「……姫は、過信して痛い目に遭うことが多い。側で見ている私は、いつも心配してばかり」


 「へ?」


 いつもの口調とは異なる福山の言葉の意味は、酔った頭の真姫には理解不能だった。


 「私をあまり、困らせないでくれ」


 「えっ」


 街路樹にもたれかかりながら、急にきつく抱きしめられた。
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