四百年の恋
 「それはそうと、そろそろ三者面談の希望日を提出してくれよ」


 春先の三者面談の際、母親が多忙を理由に機会を設けられなかったため、この時期まで先延ばしにされていた。


 「母さんと話しても、先生には何の意味もないよ。俺の将来に関する決定権は、母さんにもないんだから」


 清水自身も、三者面談に関しては消極的だった。


 「お前は未成年だ。保護者である母親の意向も、お前の将来に関わるんだからきちんと確認しておく必要がある。一度は直接話をしておかないと」


 ……紆余曲折を経て、やっとのことで面談の日程が決定にまで漕ぎつけた。


 そんな会話の繰り返しの中で、清水はふと圭介にこう告げた。


 「センセーって、なんか俺のお父さんみたい」


 「お父さん?」


 清水の言葉を復唱して、圭介は思わず苦笑。


 「せめて、お兄さんって言ってほしかったな。俺にお前のようなでかい子供がいるわけない」


 「センセーだって二十歳ちょっと過ぎで結婚して子供が生まれていたら、とっくに俺くらいの子供が生まれてたじゃん」
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