四百年の恋
 「だけどあの一件以来、お前は別人のようになったな」


 別人。


 その言葉が圭介の胸に突き刺さる。


 (以前にも同じ台詞をどこかで……?)


 「あ、別人って悪い意味じゃないぞ」


 別人発言をした悪友が、慌ててフォローする。


 「以前はどちらかといえば享楽的に生きていたお前が、あの一件以降別人のように真面目になって、今や模範教師なんだろ? エリートクラスの担任にを務めるくらいの」


 悪友の言う通り。


 昔の自分は、世の中をなめていたような気がする。


 裕福な家、勉強もそこそこできて、バドミントンも将来を嘱望された存在。


 かなり思い上がっていた。


 自分より劣るとみなした相手には、時に辛辣な言葉を浴びせたり。


 スポーツで結果を残せば、この外見と相まって女はたくさん寄って来たし、不自由することもなかった。


 ……だけど何もかもが変わってしまった。


 真姫と出会ってしまったから。


 愛してしまったから。


 「それだけじゃねえよ。足のケガもあったし」


 圭介の全てを変えてしまったのは真姫だと悪友たちは皆信じ込んでいるので、真姫の名誉のために圭介はケガのことを語り出した。
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