四百年の恋
 「もうはっきりとは思い出せないけど、結構綺麗な奥さんだったな。旦那さんもちょっと年上だけど、大学教授やってるほどの人で、かなりイケメンな旦那様。裕福だったし、誰もが羨むような家庭だと思っていた」


 「それがどうして不倫に?」


 「その美人奥様、生活に何か不満があったみたいで……。サークルで知り合った年上の男性と不倫関係になったの。あ、その人にはもちろん奥さんがいたんだよ」


 「ダブル不倫ってやつ?」


 「うん。それがついに相手の奥さんにばれて、奥さん乱入してきたんだって」


 「乱入!?」


 「何それ、修羅場でしょ」


 「どうして奥さんにばれたの?」


 「……夫の行動が怪しいから、探偵つけたらしいよ」


 「えーっ興信所!?」


 「それからどうなったの?」


 「隣の奥さん、最初は旦那さんに隠していたらしいんだけど、ついにばれる日が来て……」


 「こっちの家庭も修羅場!?」


 「離婚したの?」


 「その頃私も急に函館に引っ越しが決まっちゃって、結末は見届けられなかったんだ。大人の話だからって、両親も教えてくれなかったし。あの家に、私と同い年の女の子がいて仲良くしていたんだけど、その後どうなったのかな」


 「……家庭崩壊したのは、間違いないよね」


 「流血沙汰になってなければいいけど」


 友人たちは頷き合っていた。
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