四百年の恋
 (……清水、優雅か)


 優雅が帰宅した後、圭介は夕暮れの窓から外を眺めながら、あれこれ考えていた。


 優雅をかわいそうだと思う反面、優雅がこのまますんなり丸山乱雪の後継者になってくれることを密かに願っている自分がいる。


 美月姫から遠ざけるために。


 今すぐ彼女を、我がものにしたいわけではない。


 でもこのまま優雅に渡したくはない。


 そんな嫉妬のような感情が、圭介の中で芽生えつつあった。


 優雅が社会化準備室に入り浸っているという現状は、圭介には非常に助かっていた。


 話を聞くふりをして、緩やかに彼を監視下に置くことができる。


 彼が何を考えているか、何を望んでいるかが手に取るように分かる。


 逆にもしも美月姫が入り浸っていたとしたら。


 男性教師と女生徒というシチュエーションは、周囲に誤解を招きやすいので危険だ。


 優雅を身近に置いておく方が無難だと圭介は考え、密かに情報収集を続けていた。


 ただ相手は異常な知能を持った相手なので、勘付かれないように細心の注意を払う必要があったが。
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