四百年の恋
「……何でもありません。苦手分野の出題が続いたのと、あと気の緩みがあったのも事実です」
翌日の放課後、圭介は美月姫を職員室に呼び出した。
12月の北海道は日没が早い。
夕方四時くらいからすでに薄暗い。
この日は敢えて、圭介は美月姫を職員室に呼び出した。
まだ他の教師たちも、多数行き交っている時間帯。
社会科準備室の方が二人でゆっくり話ができるのだけど、それは避けた。
夕闇に包まれた、二人きりの準備室。
衝動的に禁断の果実に触れてしまいそうで、圭介は怖かった。
極力美月姫と二人きりになるのを避けて、自制心を保っていた。
教師と生徒という関係を破壊しようとしたら……待ち受けるのは破滅のみ。
それを十分に認識していた。
「何か、悩んでいることとかあるわけじゃないんだな」
「ありません、そんなこと……!」
美月姫は完全否定した。
「ただ、長く続いた勉強だらけの日々に、うんざりしていたのも事実です」
「そうか……」
圭介は頷いた。
「あまり頑張りすぎたら、試験本番の前に息切れしてしまう。たまに息抜きしたらどうだ? センター試験まであまり時間もないので、そんなに休んでもいられない時期だけど」
「そうですね……。気晴らしも必要ですね」
美月姫は納得したようだ。
「もうすぐクリスマスやお正月もある。時には家族や友人と、楽しいひと時を過ごした方がいいぞ」
このまま大学に合格すれば、美月姫が家族や地元の友人と過ごせるのもあとわずか。
(そばで見守っていられるのも、あと何日だろう)
圭介は一抹の寂しさを感じた。
翌日の放課後、圭介は美月姫を職員室に呼び出した。
12月の北海道は日没が早い。
夕方四時くらいからすでに薄暗い。
この日は敢えて、圭介は美月姫を職員室に呼び出した。
まだ他の教師たちも、多数行き交っている時間帯。
社会科準備室の方が二人でゆっくり話ができるのだけど、それは避けた。
夕闇に包まれた、二人きりの準備室。
衝動的に禁断の果実に触れてしまいそうで、圭介は怖かった。
極力美月姫と二人きりになるのを避けて、自制心を保っていた。
教師と生徒という関係を破壊しようとしたら……待ち受けるのは破滅のみ。
それを十分に認識していた。
「何か、悩んでいることとかあるわけじゃないんだな」
「ありません、そんなこと……!」
美月姫は完全否定した。
「ただ、長く続いた勉強だらけの日々に、うんざりしていたのも事実です」
「そうか……」
圭介は頷いた。
「あまり頑張りすぎたら、試験本番の前に息切れしてしまう。たまに息抜きしたらどうだ? センター試験まであまり時間もないので、そんなに休んでもいられない時期だけど」
「そうですね……。気晴らしも必要ですね」
美月姫は納得したようだ。
「もうすぐクリスマスやお正月もある。時には家族や友人と、楽しいひと時を過ごした方がいいぞ」
このまま大学に合格すれば、美月姫が家族や地元の友人と過ごせるのもあとわずか。
(そばで見守っていられるのも、あと何日だろう)
圭介は一抹の寂しさを感じた。