四百年の恋
 「ちょっと、美月姫すごい綺麗じゃない!」


 友人たちが驚嘆するほどに、美しいお姫様の姿が現れた。


 ちょうど戦国時代の姫君みたいな。


 「あなたは戦国時代のお姫様です」


 友人が美月姫の代わりに、説明文を読み始めた。


 「相思相愛の許婚がいたのですが、時の権力者にあなたは愛されるようになりました。許婚とは引き裂かれ、あなたは不幸な生涯を終えました。それが原因で生まれ変わった今でも、愛にさまよう人生を送っているのです」


 「愛にさまよう?」


 復唱して美月姫は思わず苦笑してしまった。


 「どういう意味だろうね。でも綺麗なお姫様でよかったね」


 「美月姫も時代劇のコスプレをしたら、こんな風になるのかな」


 友人たちは美月姫の「前世想像図」を、しみじみと眺めた。


 (俺も変な女の人に会ったんだ。着物姿で、一瞬幽霊かと思った。それがまた、大村さんに似ていた)


 「……」


 美月姫はふと、あの夏の夜の優雅の言葉を思い出した。
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