四百年の恋
 「一人百円で、前世を判定してくれるみたいだな」


 面白がってまず友人が、百円を投入した。


 備え付けのカメラで顔面を撮影。


 それを元に前世が判定される。


 面白半分で三人は続けてチャレンジすることにした。


 まず一人目。


 「げっ! 顔が縦に伸びていくぞ!」


 顔が伸びるというよりも、髪の毛が伸び始めていた。


 やがて髪型がゴージャスになり……。


 「あれ? 女だぞ?」


 「しかも外人さんらしい」


 彼の判定結果は、フランス革命期の貴婦人と出た。


 贅沢三昧だったのが、革命で財産を失い困窮したと。


 「だから今でも、パンよりお菓子が好きなのかな?」


 「今が男だからって、前世も男だとは限らないんだな」


 続けて二人目が、百円を投入した。


 顔の撮影を終了すると、変形し始める顔面。


 「まじ? 顔が大きくなる」


 同時に彼も、髪の毛が伸び始めた。


 彼の前世は「平安時代の姫君」だった。


 「この美貌なら、オカマバーで採用されるんじゃない?」


 「うるせー」


 三人目は優雅。


 前の二人が想定外の前世が提示されたので、自分はどうなるか興味津々だった。


 「幕末の志士とかならいいな。人間以外の物体になったらどうしよう」


 うきうきしながら結果を待った。
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