四百年の恋
 賛美の言葉を浴びながらも、美月姫の心は満たされなかった。


 視線は常に別の所を見つめていた。


 ……優雅が現れない。


 そろそろ謝恩会開始から30分が経過しようとしている。


 遅刻魔・優雅のことだから、この期に及んでも……程度にしか感じていなかった。


 だが20分を過ぎ、30分を過ぎると不安になってくる。


 「おい、清水はまだ来ないのか。いい加減遅いんじゃないか」


 担任の圭介も、謝恩会には参加している。


 「いつもの遅刻ならいいけど、事情があって遅れてるとかじゃないだろうな」


 圭介の発言を受けて、幹事役の生徒が慌てて清水に連絡を取ろうとしたのだが。


 「先生、数回電話したんですけど。清水が出ません」


 幹事は途方に暮れていた。


 「どうしたんだろう。よし、俺からも電話入れてみる」


 圭介も電話をかけたが、同じことだった。


 その間に幹事はメールも送っていた。


 「あいつのことだから、のん気に今頃向かっているのかもしれない。メールも送ったことだし、もうちょっと様子を見てみよう」


 こういう結論に達し、そのままパーティは続行された。
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