四百年の恋
好きな人。
(あんな風に誰かを愛せることなど、もう二度とない)
真姫以外には愛せない。
そう思い込んでいたのだけど。
自分を真っすぐな瞳で見つめ、微笑む美月姫の視線が眩しかった。
店の窓から注ぎ込む西日よりももっと。
「……アイスティー追加で」
美月姫の眩しい笑顔に耐え切れず、圭介は目を逸らし、偶然を装いたまたまそばを通りかかった店員に追加注文した。
「……やはり、昔の恋人が忘れられないんですか」
沈黙の末に、美月姫が口にした。
「もう、昔のことだ」
圭介は定番の嘘をついた。
「でも、とてもロマンティックなことだと思います。恋愛経験豊富なほうが良しとされるこのご時勢の中、一人の女性を幾年にもわたって愛し続けることができるなんて」
……一年前の美月姫だったら。
実りのない恋に何年も追いすがるなんて、バカらしいし時間の無駄だと斬って捨てていただろう。
それが今。
「私も一途に、想い想われたいな……」
全く逆なことを言っている。
(あんな風に誰かを愛せることなど、もう二度とない)
真姫以外には愛せない。
そう思い込んでいたのだけど。
自分を真っすぐな瞳で見つめ、微笑む美月姫の視線が眩しかった。
店の窓から注ぎ込む西日よりももっと。
「……アイスティー追加で」
美月姫の眩しい笑顔に耐え切れず、圭介は目を逸らし、偶然を装いたまたまそばを通りかかった店員に追加注文した。
「……やはり、昔の恋人が忘れられないんですか」
沈黙の末に、美月姫が口にした。
「もう、昔のことだ」
圭介は定番の嘘をついた。
「でも、とてもロマンティックなことだと思います。恋愛経験豊富なほうが良しとされるこのご時勢の中、一人の女性を幾年にもわたって愛し続けることができるなんて」
……一年前の美月姫だったら。
実りのない恋に何年も追いすがるなんて、バカらしいし時間の無駄だと斬って捨てていただろう。
それが今。
「私も一途に、想い想われたいな……」
全く逆なことを言っている。