四百年の恋
誘惑
***
「先生はいつ、運転免許取ったんですか?」
紅陽学園夏休み後半のこの日も、圭介の元を美月姫が訪れていた。
最近ではほぼ一日おきに来るようになっていた。
やがて毎日になりそうな勢いだが、間もなく新学期。
夏休みが終わり、生徒が普段通り登校するようになると、美月姫が足しげくここに通っているのが在校生の目に付くようになるだろう。
教職員の耳に届き、変な噂になってはまずい。
学校に出入りさせるのは、そろそろ控えなければ……と圭介は考え始めていた。
とはいえ美月姫の笑顔が見られなくなるのも寂しくて。
今後は学校外で会うようにしなければと感じていた頃合だった。
「……大学入学直前の、春休みだったな」
圭介は美月姫の問いかけに答えた。
「私も入学後すぐ教習所に通い始めて、もう免許あるんですよー」
美月姫はカード入れから、免許証を取り出して圭介に見せた。
「無事故無違反ですよ」
「いつも運転はしてるのか?」
「いえ……ペーパードライバーです。家の車を運転させてほしいんですが、危ないって言って親がなかなか運転させてくれないんですよね。だから全然、運転上手くならない」
「先生はいつ、運転免許取ったんですか?」
紅陽学園夏休み後半のこの日も、圭介の元を美月姫が訪れていた。
最近ではほぼ一日おきに来るようになっていた。
やがて毎日になりそうな勢いだが、間もなく新学期。
夏休みが終わり、生徒が普段通り登校するようになると、美月姫が足しげくここに通っているのが在校生の目に付くようになるだろう。
教職員の耳に届き、変な噂になってはまずい。
学校に出入りさせるのは、そろそろ控えなければ……と圭介は考え始めていた。
とはいえ美月姫の笑顔が見られなくなるのも寂しくて。
今後は学校外で会うようにしなければと感じていた頃合だった。
「……大学入学直前の、春休みだったな」
圭介は美月姫の問いかけに答えた。
「私も入学後すぐ教習所に通い始めて、もう免許あるんですよー」
美月姫はカード入れから、免許証を取り出して圭介に見せた。
「無事故無違反ですよ」
「いつも運転はしてるのか?」
「いえ……ペーパードライバーです。家の車を運転させてほしいんですが、危ないって言って親がなかなか運転させてくれないんですよね。だから全然、運転上手くならない」