四百年の恋

禁断

***


 「……最近、大村美月姫を連れ回しているんですって?」


 夏休み明けの職員室。


 早めに登校して雑務を片付けていた圭介に、初芝静香が突然言い放った。


 「連れ回しているとは、人聞きの悪い」


 圭介は痛いところを突かれてどきっとしたが、悟られぬよう冷静に答えた。


 「だって本当のことじゃない」


 最近ちょっと、大胆にやりすぎた。


 まずいとは分かっていたのだけど……。


 「このままじゃ学校で噂になるのも、時間の問題よ」


 静香はさらに圭介を責める。


 おそらく誰かに見られたのだろう。


 (それが初芝の耳に入った……?)


 「吉野くんがどんな女性と仲良くしようが、それは自由だけど、大村美月姫とは相手が悪いわ。なんせ彼女はあなたの教え子」


 「もう卒業している」


 「そうだけど、まだこの春に卒業したばかりでしょ。誤解を招くわよ」


 「誤解?」


 「……こんなこと言いたくはないけれど。在学中から関係があったんじゃないか、って」
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