四百年の恋
 「……どうしてアダルト関係は18歳までなのに、アルコールは二十歳まで禁止なのでしょうね」


 「成長過程の体に、悪影響を与えるからだって理由付けされているけど」


 「先生だって実のところ、二十歳前から飲んでたんじゃないですか?」


 「それはノーコメントで」


 「やっぱり」


 美月姫はいたずらっぽく笑った。


 「ま、とりあえずはお前が二十歳になってからだ」


 そう締めくくろうとした時。


 「先生」


 美月姫が近づいて、体を寄せてきた。


 ここは居酒屋のボックス席、カップルシートと称されている。


 円卓になっていて、それを囲むように座席スペース。


 椅子ではなくベンチ式になっているため、最初は離れて座っていてもこうして密着して飲食可能。


 「早く先生と二人で、お酒飲みたいな……」


 腕を絡ませ、上腕に頬を寄せながら告げる。


 「……酔ってるのか」


 「酔ってるわけないじゃないですか。先生にジョッキ取り上げられちゃったんですから」


 「そうだったな」


 圭介は苦笑した。


 美月姫用には、ストローの刺さったソフトドリンクのウーロン茶が用意されている。
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