四百年の恋
 ……。


 ……目が覚めると真姫は、布団にくるまっていた。


 見渡すとそこは、寮の自分の部屋。


 (私は……)


 最初は何もかもが混沌としていた。


 二日酔いの朝みたいに、記憶がぐるぐる回っていた。


 時間が経つにつれ、徐々に昨夜の記憶が蘇ってくる。


 おぞましい、恐怖に満ち溢れた記憶。


 遅くまで研究室に残っていたら、圭介に強引に押し倒され……。


 そこに福山が現れて。


 圭介から引き離してくれたのだけど、そのあたりから記憶がない。


 どうやって帰ってきたんだろう。


 もしかして、夢?


 夢であることを期待した。


 だが椅子にかけられた、見覚えのない男物の上着。


 帰り際に、福山に着せられたものだ。


 そして……引き裂かれたブラウス。


 昨夜のことは夢じゃないと、これらが如実に物語っている……。
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