四百年の恋
 大学へ行くのが、非常に苦痛だった。


 特に……あんなことがあって、圭介とは顔を合わせにくい。


 (どうして……)


 どうして今さら、あんなことを告げたのか。


 そして強引に私を抱こうと……。


 真姫は顔を覆った。


 「これまでの関係を壊したくなかったから、気持ちを隠していた」


 昨夜の圭介の言葉が、耳に鳴り響く。


 (壊したくないのなら、いっそこのままずっと隠し続けてくれればよかったのに……!)


 そう考えると悲しくなる。


 知ってしまった圭介の気持ち。


 あんなことがあって、もう以前のように振る舞うことはできない。


 とはいえあからさまに、避けたりすることもできない。


 大学内の人間関係は、案外狭い。


 そこで露骨に態度を変えると、互いに居づらくなる。


 (自然体で、振る舞うしかない)


 そう決意して真姫は、大学へ行く準備を始めた。
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