四百年の恋
 「大ケガ……!」


 真姫は血の気が失せる思いがした。


 徐々に記憶が蘇ってくる。


 昨夜は何とか圭介の腕から逃れたと思ったら、今度は圭介は福山に逆上して襲い掛かった。


 それをやめさせようとして、真姫が圭介を突き飛ばした時、圭介の体は大きく宙を舞い。


 階段の吹き抜けのほうへと傾いていったはず……。


 (まさか、そのまま……)


 その可能性が高いので、真姫は不安でたまらなかった。


 とりあえずは麻美に導かれるがまま、研究室へと駆け足で急いだのだが・・・。


 「吉野くんのケガって、どんな具合なの?」


 真姫は走りながら、麻美に尋ねた。


 「私も聞きかじりなんだけど……。しばらくバドミントン無理なんじゃないかって……」


 真姫は言葉を失った。


 ……やがて研究室に到着。


 研究室の入り口付近で、関係者が呆然と立ち尽くしている。


 廊下にまで文献やプリントが散乱していて……。


 ところどころにガラスの破片も飛び散っている。


 大学関係者が周囲にロープを張って、関係者以外立ち入り禁止にしているようだ。
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