四百年の恋
「こっ、これは……。救急車呼んだほうが」
オタク男は混乱して、慌てふためいている。
福山は瀕死の重態に見えた。
「化け物め、消えてしまえ! もう真姫の前に、姿を現すな!」
圭介は福山にとどめを刺そうと近づき、十字架を押し付けようとした。
すると……。
「見て!」
まず静香が気が付いた。
福山の体が色彩を失い、徐々に分離しているように見えたのだった。
「……」
真姫は言葉を失っていた。
胸をときめかせていた人が目の前で腐り始め、代わって姿を現したのは……。
「あーっ! あなたは誰ですか!」
オタク男が叫び声を上げた。
朽ち果てた福山の体と入れ替わるかのように現れたのは、時代劇に出てくるような御曹司。
福山と瓜二つの。
彼は苦痛に顔をゆがませながら立ち上がり、真姫に近づいた。
「あなたは……!」
真姫は恐怖に耐えながら、彼をじっと見つめた。
どこかで出会ったことがあると思った。
思い出した。
今年の春、松前の公園で花見をしていた時に、転がっていった缶ビール。
(桜の木の根元で缶ビールを拾い上げ、私に手渡してくれた人……!)
オタク男は混乱して、慌てふためいている。
福山は瀕死の重態に見えた。
「化け物め、消えてしまえ! もう真姫の前に、姿を現すな!」
圭介は福山にとどめを刺そうと近づき、十字架を押し付けようとした。
すると……。
「見て!」
まず静香が気が付いた。
福山の体が色彩を失い、徐々に分離しているように見えたのだった。
「……」
真姫は言葉を失っていた。
胸をときめかせていた人が目の前で腐り始め、代わって姿を現したのは……。
「あーっ! あなたは誰ですか!」
オタク男が叫び声を上げた。
朽ち果てた福山の体と入れ替わるかのように現れたのは、時代劇に出てくるような御曹司。
福山と瓜二つの。
彼は苦痛に顔をゆがませながら立ち上がり、真姫に近づいた。
「あなたは……!」
真姫は恐怖に耐えながら、彼をじっと見つめた。
どこかで出会ったことがあると思った。
思い出した。
今年の春、松前の公園で花見をしていた時に、転がっていった缶ビール。
(桜の木の根元で缶ビールを拾い上げ、私に手渡してくれた人……!)