分裂世界の緋色姫

スマホや日常品はパルスからの支給品で、その他のものは毎月国から受給する1万円でそろえていた。

「はーあ、早く家に帰りたーい」

ナツキは足をバタつかせた。

口からは「ぁあ〜」という声が漏れる。

「つか、カレーも食いたいっ!」

「ナツキ、カレー好きだよね」

「うん、今日のごはんなんだろ、カレーかな、カレーがいい」

「今日は親子丼。朝もう食堂のおばちゃんが用意してたよ。ナツキドンマイ(笑)」

「うぇ、あの残酷なヤツじゃーん!親と子とかマジ残酷な親子じゃん!」

「あははっ、ナツキ最高!」

アスカはゲラゲラと笑った。

「あっ、もう昼休み終わりじゃん」

ナツキが唐突に言った。

「あ、次、英語…」

アスカは途中で言葉を止めた。

放心したまま遠くを見ている。

「どした?」

ナツキが心配そうに顔を除き込んでくる。


「宿題、やってない…」

アスカはぼそりと呟いた。
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