君との約束
「そ、そんな…磨生は…磨生は命を落としてまで麻萌梨ちゃんを守ったのに…その麻萌梨ちゃんに忘れられるなんて…!ひどい…ひどすぎるわぁ!あぁあ!」
そう言って子供のように泣きわめくその人の言葉に私はその場の空気が固まるのがわかった。
確かこの人は…龍生のお母さん…だったはずだけど…なんで磨生君と言う子のことで泣いてるんだろ…
「おい…やめとけ…忘れてしまったのは仕方ないんだ…麻萌梨ちゃんは悪くない…すみません…僕たち…帰りますね…」
側で支えていた龍生の父親が少し会釈をして、龍生の母親を支えながら病室を出て行った。
お母さんは2人が出て行くのを見届けてから私の方を向いて
「ねぇ…本当に磨生君…覚えてないの…?」
と私に静かに聞いた。
「うん。知らな〜い」
私が何気無く空をみながらそう答えると
「そう…」
と少しさみしそうな声で言った。
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