♥続・甘々な俺様とふたりきり♥


話しかけてきたのは、
黒髪が肩くらいある女だった。


「ずいません……ゴホっ迷惑ですよね……」


「いえ、心配だったので……。
よかったら、これどうぞ」


そう言って出されたのは、小さな水筒。


え、俺に?



「私、この間風邪引いてたんですけど、
これ飲んだらすごい良くなったんです。
あ、もちろんまだ飲んでないんで、
安心してください!」


と、ニコっと笑う女。




なぜか俺は、その笑顔に釘付けになった……。




「……ごめんなさい。
急に言われてもいらないですよね」


「え、いやっも、もらいます」


どうしたんだ俺……。



熱は今日計った感じでは少し高いくらい。


なのに身体が、顔が妙に暑い。



もしかして、また熱出できたのか……?



「どうぞっ」



「あ、ありがとう」


貰うときに微かに触れる手。



「一緒に受かるといいですね」



「あ、あぁそうだね……」




女に慣れてるはずの俺が、

こんなドキドキするのなんて初めてで……



って、試験に集中しないと。


それで、

もし受かったら……



貰った飲み物を飲んだ。


それはホットレモネードだった。


美味しい。喉が潤う。



見ず知らずのやつのために、

優しい彼女だな。


そんなことを思いながら、

俺は試験に望んだ。



そして、無事合格。
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