白雪姫の願いごと
(一回マサ君の顔写真を使ったホームページを作ろうとしたけど拒否されたしなぁ。絶対にそっちのほうが集客率が上がるのに)
もっと自分の顔を生かす努力をしてほしい、と営業部長としての不満を漏らしながら、私は図書館を出た。
12月の現在、午後6時といえば外も真っ暗だ。
私はなんとなく寂しい気分になりながら上着をギュッと握って歩き出す。
(……まぁ、今さらマサ君の仕事がないことを考えたって仕方がない。とりあえず家に帰ってタイムセール逃したこと謝って、残りの食費でどうやりくりするか考えよう)
かじかむ手をこすり合わせながら、私はそんなことを考える。
とりあえず、家に帰ったらもやしを使ったヘルシーレシピでも調べてみるか……と思ったその時。
「妖精ちゃーん!!」
「っひゃあ!?」
突然、背後から誰かに思いっきり抱きしめられた。
驚いた私は一瞬固まると、すぐにしかめっ面を作って後ろを振り向く。
果たしてそこに立っていたのは、明るい茶髪を風に揺らす超絶美人。
「……もー、ビックリしたじゃん!急に驚かすのやめてよね、葉月ちゃん!」
「いやぁ、ごめんね?そこまで驚くと思わなかったんだよー」
そう言って朗らかに笑う私の友達、堀川葉月《ホリカワハヅキ》だった。