「ごめん、今から嘘つきます」
「…………遅くないかな」
『え?』
(え、私今なに言って………っ)
バッと慌てて口を隠すと、無性に恥ずかしくなってきて
思わず涙が出そうになった。
なに期待してんだ、私。
もう、言ってしまったのに。
『………倉田なら、電話かけれるよ、あたし』
幼なじみはフッと優しく笑って、
目の前でスマホをちらつかせた。
笑うな、アホ。
でも、それに手を伸ばしている私は
もっとアホなのかも。