勝手に百人一首
「あのさ、お前」





「はいっ!?」





「今から死ぬの?」





「えっ」






『今から帰るの?』と変わらないくらいの軽さで問われて、あたしのほうが驚いてしまう。




佐藤は無表情のまま、手すりに両肘をついて、仰向けにあたしをじっと見上げている。






「………えーと、あの」




「今、飛び降りようとしてただろ?」




「あ、はい。そうなんです」






―――あたしってば、なにを素直に認めてるんだろう。




でも、あんまり平然と訊かれたもんだから、あたしもぽろりと本音を口に出してしまったのだ。






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