How much?!


商品の問い合わせの電話を丁寧に受け答え、一応メモを取っておく。


その後も事務所で電話番をしていると。


「お疲れ様です!」

「ッ?!……水内店長ですか?」

「あ、はい、水内です。遅くなってすみません」


40代と思われる男性が姿を現した。

一応事故防止の為、お互いに社員証を確認し合う。


金庫の鍵という大事なものを手渡すのだから、念には念を。


確認を終えた私は水内店長に鍵を手渡し、先程電話を受けた内容を記したメモも手渡して。


「では、私はこれで失礼致します」

「遅くまですみません。お疲れ様でした」


予定より2時間以上も経過して、漸く虹ヶ丘店を後にした。




虹ヶ丘店を出発し、大通りに出た私は路線バスを待つ。


1月下旬。

簡素な造りの停留所があるが、寒風を凌げるほど立派ではない。

あまりの寒さに足踏みをして時間をやり過ごす。


15分程待つと、漸く路線バスがやって来た。

すぐさま乗り込み、身体を温める。

暖房の効いた車内は天国そのもの。


終点の駅までおよそ1時間。

私は寒さと疲れから逃れるように、更に任務から解放された安堵から、ウトウトと心地良い眠りに襲われた。



『終点**駅~**駅です』


微かに耳に届いた単語に無意識に身体が反応する。

ヤバい、降りなくちゃッ!!


重い腰を上げ、乗車賃を払い、バスを降りると。

ぴゅーっと突き刺すような冷たい風が吹きつけ、思わず目を細めて身を縮込ませた、その時。


ドンッ!!

…………えっ?


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