How much?!
「麻生さん」
「…………ん?」
「あの………」
決意したものの、上手く言葉にならない。
だって、まるで私から誘ってるようなものだもの。
ソファに横たわる彼の横にしゃがみ込み、彼の顔を覗き込む。
常夜灯の薄明かりの中、彼の瞼がゆっくりと開く。
そんな彼を真っ直ぐ見つめて――――。
「ソファで寝るのは寒いですし、風邪を引いたら大変ですし、ちゃんと身体を休めないと仕事に支障を来たしますし………」
ズバリと言いたい事を言えばいいのに、その言葉が中々出て来ない。
すると、
「女の子が身体を冷やす方が余計に問題だろ」
「へ?」
「いいから、お前はベッドで寝ろ。俺は眠い!睡眠の邪魔をするな」
「…………」
“女の子”というフレーズに驚いてしまったが、女性である私の身体を心配してくれた事が嬉しかった。
言葉は乱暴だけど、ちゃんと彼の優しさは伝わってくる。
……気を遣ってくれている事も。
だから私は、そっと彼の頬に手を添えた。
「ッ?!おい、邪魔をするなと言っただろ」
「眠いなんて、嘘ですよ」
「は?………何言ってんだ?」
「人は眠りに入る時に、自然と体温が高くなるんです」
「………」
「麻生さんの頬、こんなに冷たいですよ?」
「ッ?!………顔だけ冷えてんだ」
「フフッ、そうでしょうか?」
私は肌掛け布団をパッと捲り、彼の手を掴んだ。