How much?!
「手も、冷たいですよ?」
「…………」
他意はない。
本当に彼が風邪を引いてしまうのではないかと、心配なだけ。
だから、疾しい気持ちが無い私は真っ直ぐ彼の瞳を見据えた。
すると、
「お前、自分で何を言ってるのか、分かってんのか?」
「………はい」
私の返答に溜息を零す彼。
「あーもー、マジで知らねぇぞ?」
彼はガバッと上体を起こし、クシャクシャと髪を掻き乱す。
そんな彼に一応、牽制的な一言を突き付けておく。
「デキる男は、同じ過ちを繰り返さないですから」
「………………フフッ」
一瞬唖然とした彼だが、すぐさま笑みを零した。
恐らく、私の言わんとする事が伝わったようだ。
すると、彼は肌掛け布団を手にして立ち上がった。
「そうだな。デキる男は、同じ過ちを繰り返さないものだよな」
「……………はい」
彼は布団を手にして寝室へと向かう。
そんな彼の後ろ姿を見つめ、自然と笑みが零れていた。
ベッドに潜り込んだ私達。
お互いに背中合わせで横になった。
「麻生さん」
「ん?」
「今日は本当に有難うございました」
「ん」
「来てくれて嬉しかったです」
「…………あっそ」
「おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
背中に彼の気配を感じながら目を閉じた。
静寂に包まれる寝室。
予想以上に胸が反応する。
これじゃあ、寝るどころじゃないよっ!
しかも――――………