How much?!


“どうしたい”と聞かれても、自分でも正直分からない。


“どうしたらいい?”じゃなくて“どうしたい?”

どうしたらいいのかが分かってれば、解決策も自ずと見出せそうだけど。



そもそも私は、彼を自分に惚れさせて、その後どうするのだろう?

そんな事も考えずに挑発に乗ってしまっているのだからタチが悪い。


それに彼が私を好きになったとして、私に何の利益があるの?

強いて言うなら、社内一のイケメンに好かれる事務員というだけの事じゃない?

それって、ちょっと虚しくない?


逆に私が彼を好きになったとして、彼の利益と言えば……。

“やっぱり俺はモテるんだ”と如何にも自慢しそうだ。


ナルシストな上に俺様で、更に容赦ないほどの毒舌男。

私が彼に惚れたら……仕事がし難くなる事は決定だよね。


はあぁぁ~~。

私は出口のない迷路に迷い込んでしまったようだ。



ソファの上で膝を抱え、膝頭に顎を乗せる。

テーブルの上に置いたカップを眺め、溜息1つ。

ダメだ。

私、お手上げかも。


「志帆ちゃ~ん」

「そんな可愛い顔してもダメですよ?」

「うぅぅっ……」


私がジレンマに陥った時にするポーズ。

自分で解決出来そうに無く、彼女に助けを求めて……。


「ホントに先輩って、何でそんなに可愛いかなぁ~!」


ダメダメと口にしていても、結局は助けてくれる志帆ちゃん。

だから、頼っちゃうんだよね。


はにかむ彼女に期待の眼差しを向けていると。


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