How much?!
「それで、先輩は何に悩んでるんですか~?」
さっきまで悩んでた事さえ、すっかり忘れてたよ。
「昨日のお礼をしようと思うんだけど、何をどうしたらいい?」
「う~ん、彼がどんな人物なのか分からないだけに困りますね」
「そうなんだよね……」
一通りの事は考えてみた。
支払った分のお金にプラスして現金で返す。
食事を提供して頂いたお返しに食事に誘う。
治療&看病してくれたお礼に何かプレゼントでもあげようかと。
だけど好みも分からないし、どうやってアクションを起こしたらいいのか分からない。
分からない事だらけでお手上げだ。
「それにね?」
「はい」
「合鍵もなくしちゃったから、そのお詫びもしたいんだよね」
「………そうですね」
お礼だけじゃない。
大事な家の鍵を無くしてしまったのだから、何かしらしないと気が済まない。
ホント、何をどうしたらいいんだろう?
2人して頭を捻る。
暫くして、志帆ちゃんがゆっくりと口を開いた。
「合鍵が無いから、彼の家に行ってご馳走を作って待ってるってのは無理ですから、先輩の家に呼ぶのはどうでしょうか?」
「ここに?」
「はい。腕に撚りをかけてご馳走を作るってのはどうですか?」
「………ん、それなら何とか出来そう」
「それから、お礼の品物は何か適当に用意するとして……」
「ちょっと、待って!何か適当にって、そこが肝心じゃないっ!」
サラリと口にした志帆ちゃんに待ったをかけた。