How much?!


志帆ちゃんが呆れるのも無理はない。

気にはなっても、興味を持つほどではない。


彼に毒吐かれないように自分自身には気を付けてても、彼自身には目を向けて無かったから。


きっと同僚の子達なら、彼の愛用ブランドだとか他にも色々情報を得てるかもしれないけど、彼女達に聞く気にはなれない。

それなら、私の趣味で選ぶまでよ!


「有名ブランドとかだと、逆に厭味を言われそうな気がするんですよね~」

「………どんな風に?」

「ん~そうですね~、『俺をそこら辺の男と一緒にするな』とか?」

「………言いそう」

「だから、ぎゃふんと言わせる為にも少し捻りを入れないと……」

「………捻りねぇ」


何だか一気にハードルが上がったような。

きっと何をあげても厭味は言われそうだけど。

同じ厭味を言われるなら、私は私でいたいと思ってしまう。


彼が他の男と同じにされたくないと思うように、私も他の女と同じには思われたくない。

素直じゃなくて意地っ張りな性分が、こんな所で発揮されても意味ないんだけど。


「それから、お詫びの品ですけど……」

「うん」

「先輩の家の鍵を渡すってのはどうですか?」

「へ?………今、何て?」

「だから~、先輩の家の鍵をあげるんですよ!」

「何で?…………Why?」


志帆ちゃんの言いたい事がさっぱり分からない。

何をどうしたら、合鍵に結びつくの?


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