How much?!
2月14日。
「ご飯はさっき炊き上がったし、おかずもちゃんと出来上がってる。プレゼントはちゃんとあそこにあるし……」
キッチンとリビングを行ったり来たりしながら、最終チェックをする私。
そもそも何でこんなに慌ててるかと言うと……。
30分程前に彼から『あと30分で着くから』というメールが届いたのだ。
昨日の仕事帰りに食材を調達し、下ごしらえを昨日のうちに済ませておいた。
そして、今日は運良く早番という事もあり、ダッシュで帰宅し料理に勤しんだという訳。
しかも、料理をすると匂いが服や髪についてしまうから、さっき慌ててシャワーを浴びた。
……なんかこれって、彼氏を待つ彼女のする事だよね?
まっ、似たようなものか。
ドレッサーの鏡でおかしな所がないか、念には念を入れてチェックする。
一応、まだ『女』は捨ててない。
室内の匂いも気になると思い、シャワーを浴びる前にイオン空清しておいたし。
あとは、彼が来るのを待つだけだよね?
久しぶりに彼に会う。
あの日以来だ。
かなり緊張してるけど、大丈夫だよね?
鏡に映る自分に何度も言い聞かせていると……。
――――ピンポーン
来たっ!!
玄関へ向かい、ドアを開ける前に深呼吸。
大丈夫、いつもの………私で。
ガチャッ
「こんばんは、お疲れ様です」
「ん、久しぶりだな」
ドアを開けた先に仕事着姿の彼がいた。
しかも、相変わらずの男前の美声を発して。
「寒いでしょうから、中へどうぞ」