How much?!


「蓮根のきんぴらは、俺の好物だ」

「へ?」

「きんぴらならごぼうより蓮根の方が旨いよな?」


えっと、私はどう反応したらいいの?

厭味を言われると思ってたから、喜ぶ反応は持ち合わせていないんだけど?


どうやって反応していいのか分からず、視線を泳がせていると。


「酒のつまみで食べるサキイカがあるだろ」

「え?………あ、はい」

「あれを少量入れると、旨味とコクが出て、深い味わいになる」

「………へぇ~」


やっぱり一言言わないと気が済まない訳ね。

でも、何だろう?

私、彼の毒に慣れ過ぎてるのかな?

あまり辛口に聞こえなかったのは気のせい?


もっとこうなんて言うか、『こんなモノ、食えたもんじゃない!』みたいな反応を示すかと思ってたけど。

意外にも手応えはあったような……。


黙々と食べる彼を横目に見ながら、再び私も食べ始めると。


「悪い」

「へ?」

「ちょっと言い過ぎたな」

「………」

「食品バイヤーしてると、嫌でも味にうるさくなってしまって。悪気があった訳じゃないから」

「………はい」


何とも重々しい空気になってしまった。

私はその空気を打破すべく……。

『猛ダッシュで帰宅して、結構必死に頑張ったんですよ?』とさり気なくアピールしながら、彼へお茶を注ぎ足した。



そして―――――。


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