How much?!
急いで階段を駆け下りると、バンッとドアを閉める音が聞こえた。
すぐさまエンジンが掛かり、乾いた空気の中、エンジン音が響く。
物凄い勢いで車へと駆け寄って……。
コンコンッ
間に合った。
今が冬場で助かった。
暖機運転の為なのか、直ぐには発進せずに止まっていた。
私の気配に気づいた彼がすぐさま窓を開けてくれた。
「どうした?」
「あのっ………」
猛ダッシュしたせいか、息切れがハンパない。
言いたい事が思うように言えないでいると……。
「とりあえず、寒いから中に入れ」
「へっ?」
「お前、上着も着ずに……」
「………あっ」
「直ぐに温まるから、とりあえず、乗れ」
「…………はい」
慌てていた為、上着を羽織るのをすっかり忘れていた。
彼の言葉に甘えて、助手席に乗り込む。
薄暗い車内、息遣いが聞こえるほどの至近距離。
更に密室という条件の中で、物凄い速さで心臓が早鐘を打つ。
走って来たからだよね?
彼にドキドキしてる訳じゃない……よね?
次第に呼吸は楽になるものの、胸の鼓動は中々落ち着きそうに無い。
………何でだろう?
真横からの視線を感じて、無意識に顔を逸らすと。
「で?………俺に何の用?」
「…………」
胸元でギュッと握りしめた手の中にその答えがある。
私は意を決して、ゆっくりと視線を彼に向けた。
そして―――――。