How much?!
ND≠0
2月下旬。
麻生さんを自宅に招いた日から、あっという間に半月が経とうとしている。
あの日を境に頻繁にメールをするようになり、時間を見つけては食事をするようになっていた。
「それで~?昨日は、何て言われたんですか~?」
「………鳥の巣って、馬鹿にされた」
「えぇ~可愛い髪型だったのに~」
「だよね~?!私もそう思うんだけど、奴にしたら『鳥の巣』にしか見えないらしい」
「ホント、ムカつく奴ですねっ!私の可愛い小町先輩にいちゃもんつけるなんてっ!私が代わりに一発ぶん殴って来ますよっ!」
「フフッ、ありがとね」
「あぁ~、マジでムカつくぅ~」
あれから数回彼と食事をしてるけど、その度に毒を吐かれている。
昨日はふんわりビーハイブヘアにして行ったら、『鳥の巣』と貶された。
その前は、新色のピンクベージュのアイシャドーを使って、春らしいメイクを施したの。
シアーカラーの奥にパールが煌めく感じで可愛らしい仕上がりにしたのに……。
『お前、瞼に桜でんぶでも付けてるのか?』って!!
ちらし寿司や巻き寿司に使うような食材を、わざわざ瞼に付ける女がどこにいるのよッ?!
逢う度に難癖をつけられて、正直へこむを通り越して、勝ちたいと思ってしまうのは……私が相当捻くれてるからだよね。
自分でも自覚している。
普通の女の子なら直ぐに泣いてしまうほどの言葉でも、私は『何ですってッ?!』と息巻いてしまう。
奴の口を塞ぎ、褒め言葉の1つや2つ言わせてみたいと思ってしまうのだから……。