How much?!
「それより、先輩」
「ん?」
「その後、気持ち的にはどうなんです~?少しはハッキリしました~?」
「………う~ん、まだよく解らないんだよねぇ」
志帆ちゃんには、正直な気持ちを話してある。
あの日、『淋しい』と感じてしまった事も。
ドキドキして、中々寝付けなかった事も。
だけど、数日置いて彼に会った時には、あの日ほどドキドキはしなかった。
……何でなんだろう?
あの日は、本当に久しぶりだったからなのか。
自分の家に初めて男の人を呼んだからなのか。
正直な所、よく解らない。
ただ言える事は、ほんの少しずつだけど『本当の彼』を見るようにしている。
彼は私と同じで、仕事に対して妥協しない。
常にベストを尽くして、より良い結果を出そうと必死だ。
それに口調は最悪だけど、気遣いが出来る人みたい。
私が仕事中に書類で切った僅かな切り傷を見つけて、絆創膏を貼ってくれた。
仕事柄、彼はよく外装で指先を切るそうで、スタッフジャンバーのポケットに常に絆創膏を常備しているらしい。
男性が絆創膏を常備している事にも驚きだけど、紙で切った傷なんて目を凝らさないと分からない程なのに。
けれど、彼はそれに気づいてくれた。
そんな些細な事の積み重ねだけど、ほんの少しずつ彼を見る目が変って来たのは事実かも。
「で?………次はいつ逢うんですか~?」
「今週の土曜日」
「土曜日?……あれ?その日って、先輩公休日でしたよね?」
「………ん」