How much?!


ふわりと髪に触れる感触が伝わってくる。


信号は赤。

エンジン音はあるものの、走行音が無いため静か過ぎると思うのは私だけ?


ゆるふわだった時ならさほど感じなかったかもしれない。

だけど、ストレートにした事で直接触れられる感触が伝わってくる。


どうしよう……。

どんな反応していいのかも分からない。


心臓が小躍りからブレイクダンスを始めたようだ。

無意識に肩がビクッと震えてしまう。

すると、


「手触りいいな、小町の髪」

「……ッ………」


どう切替していいのかさえ分からない。

成すがままとはこの事を言うらしい。


信号が青に変わると自然と離れて行く彼の指先。

心地いい温かさが失われてゆく。

あっ、まただ。

また物足りなさを感じてしまった。


ホント、私どうしちゃったんだろう。

窓ガラスに映る自分を眺め、小さく溜息を吐いた。





「ここ」

「降りろ」


到着したのは大晦日に訪れた、彼の叔母さんの家兼店舗だった。



「いらっしゃいませ~。あら、大和じゃない」

「2階いい?」

「えぇ、いいけど。ご飯は?」

「適当に2人分持って来て」

「あぁ、はいはい。飲み物は自分でしてよ?」

「ん~、小町行くぞ?」

「あっ、はい!」


麻生さんはスタスタと階段を上って行く。


「あの、先日は夜分にお邪魔しまして……」


私は彼の叔母様にご挨拶をした。

すると、



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