How much?!
「あの子、あぁ見えても結構繊細で優しい所もあるのよ?」
「えっ……?」
「ウフフッ。あの子の事、宜しくね♪」
「あっ…………はい」
何て返答していいのか分からず、気付けば了承とも思える返事をしてしまった。
恐らく、叔母様は私が『恋人』だと思っているに違いない。
誤解を招くような返事をしてしまった事に胸が少し痛んだ。
叔母様は小走りに店内へと姿を消してしまった。
仕方なく、彼がいる2階へと自宅部分の階段を上り始めた。
彼は革ジャンを脱ぎ、キッチンにいた。
「小町、珈琲淹れて?」
「あっ、はい」
リビングのソファに脱いだコートを置き、彼のいるキッチンへと。
彼は湯を沸かしてくれていた。
豆やフィルター、カップなども用意されており、後は私が淹れればいいみたい。
「へぇ~そうやって淹れるのかぁ」
「本当はもう少し時間をかけてじっくり淹れるとコクが出るんだけど、豆の種類によっては酸味も出易いから」
「そんな技、どこで教わったんだ?」
「お義兄さんから」
「小町、兄貴がいるのか?」
「兄っていっても、義理のね?姉の旦那さんがバリスタなの」
「へぇ~、小町は2人姉妹?」
「ん。麻生さんは?」
「俺は妹がいる」
「へぇ~、妹さんかぁ。やっぱり美人なんでしょ?」
「ん~どうだろ?普通じゃねぇか?」
淹れ終ったカップを手にして、彼はリビングへ歩いて行く。
そんな彼の後ろ姿を眺め、ちょっとだけ優越感に浸っていた。