How much?!


もちもちの生パスタが絶品で思わず頬が綻んでいると。


「旨そうに食うな」

「んっ?」


口にパスタが入っていて言葉が返せない。


「小町の口に合ったか?」

「んんん」


コクコクと頷くと、きゅんとしそうな程の柔らかい笑みを浮かべる彼。

何故か、じっと見つめられている。

そんな風にじっと見られると、口の中のモノも飲み込めなくなるじゃない。

彼の視線から逃れる為、顔をスッと背けてゴクリと飲み込むと。


ッ?!

再び、ふわりと髪に彼の指先の感触が伝わってくる。

何、これ……。

もしかして、彼って、髪フェチなの?

しかも、ストレートヘア好き??


彼の指先が髪の表面から次第に地肌へと伝ってゆく。

その感覚が思いのほか気持ち良くて、ぞくりと首筋が粟立った。


すると、スッと引いて行く彼の指先。


「ほら、早く食え。伸びんぞ?」

「なっ……!」


何言ってんのよッ!!

美味しく戴いてたのを中断させたのはどこの誰よ!!

ムカッと来て振り向くと、彼は何事も無かったようにサラダを食べている。

ほんっとにもうッ、何なのっ?!

キザ男の言動にいちいち反応しちゃう自分が恨めしい!

無駄にイケメンなのが本当に癪に障るったらありゃしないっ!


左隣りは完全無視して、目の前のお料理に集中する事にした。





「………ご馳走様でした」


あまりの美味しさにペロリと平らげてしまった。

あぁ~確実に1キロは増えたんじゃない?

溜息まじりに食器をトレイに片付け始めると、


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