How much?!
スルスルと肩先まで這って行き、そして、ゆっくりと私の身体を引き寄せる彼。
唖然としている私は抵抗する事も忘れ、気付いた時には彼の肩に凭れていた。
………これは、どういう状況なの?
肩を抱かれ、彼に寄りかかってる構図じゃないかしら?
右肩には彼の手が置かれている感覚と。
身体の左側には彼の温もりが感じられる。
セーター越しに伝わる彼の体温。
そして、すっかり馴染んだ柑橘系の香り。
何だろう?
さっきまであんなにドキドキしてたのに、今はドキドキよりふわふわした感じ。
心地いいくらいふわふわして、胸の奥がジンと甘い痺れをもたらし始めた。
すると、右肩に置かれた指先が少し上昇して、艶やかになった髪を梳く。
その感覚が堪らなく気持ち良くて、思わず目を細めてしまう。
こんな事されたら、ヤバいんじゃない?
この男に落ちてしまったら、私の純潔はこの男に奪われちゃうんだよ?
浮遊する思考を必死で手繰り寄せ、彼の顔を見上げた。
すると、そんな私の視線を待ってましたと言わんばかりに優しい眼差しが降り注ぐ。
顏にかかる彼の吐息。
それだけでも眩暈がしそうなのに、髪を梳いていた指先がゆっくりと地肌を這い始めた。
再び気持ち良すぎるほどの快感に思わず目を細めると、
「んっ……」
しまった!!
意識が髪と地肌に奪われている間に、無防備な唇が奪われてしまった。
しかも、蕩けるほど甘く………優しいキスの雨が――――。