How much?!
49円
「大和さぁ、いい加減素直になって『スキだ』って言っちまえよ」
「っ……」
「ってか、3年も掛かってやっと手の届く距離になったつーのに、何お前、まだ我慢出来んの?どんだけドMなんだよ。マジ尊敬するわ」
「んなこと、健吾さんに言われなくても分かってるんすけど、本人目の前にすると、マジでテンパって……」
「はぁ、ったく、不器用な上にピュア過ぎんだろお前」
彼女対策を講じる為、健吾さんを呼びつけて居酒屋にいる。
「俺がどんだけお前に情報を提供してやってんのか、分かってんのか?」
「………すんません」
「ったく、志帆から情報得るのにどれだけヒヤヒヤしてんのか、お前分かってねぇーよ」
「うっ……」
「マジで俺の彼女、怒った目がハンパないくらい怖ぇーから」
健吾さんの彼女・相澤志帆は、早坂小町と並んでうちの会社の名物事務員。
『スーリールの狛犬(こまいぬ)』と言われている2人。
仕事中は無駄口を叩かず、常に会社に忠誠なのだ。
俺が健吾さんの後輩だと分かったと同時に、彼女があの相澤なんだと知った。
そして、俺はすぐさま彼女の事を話し、こうして協力して貰っている。
この3年の俺は、紺野部長と健吾さんに支えられていると言っても過言じゃない。
「ってかさぁ、何で大和は紹介を断固拒否すんだよ。俺が志帆を通して早坂を紹介したら簡単じゃね?」
「俺もそれは考えたんすけど、自力で惚れさせたいってのもあるし、何て言うか……運命みたいなもんを信じたいんすよねぇ」
「っんまぁ、お前の気持ちは分からなくはないけど、3年は長過ぎんだろ」
「まぁ、そうっすねぇ」