How much?!
確かに3年は長過ぎる。
俺もいい加減我慢の限界だと思う。
だけど………。
「でも、健吾さん」
「ん?」
「彼女、……………処女なんすもん」
彼女の口から聞いた時は正直、正気を保つのに必死だった。
今時の女子高生だって早々と手放すヤツもいるのに、29歳まで経験が無いって……どんだけ奥手なんだよってな話だ。
だけど、3年前のあの日………俺は彼女の本当の姿を垣間見た気がした。
俺が見た彼女の姿と紺野部長から聞いている彼女の姿を重ね合せると、もしかしたら、“奥手”と言うより“慎重”なのかもと思うようになった。
そして、実際彼女と2人きりで会うようになって、疑惑が確信に変わったんだ。
「まぁさぁ、未経験とは言え、それなりの経験はあるみたいだし。もう少し態度に出しても大丈夫なんじゃねぇーの?何か、お前が不憫過ぎる」
そうなんだ。
健吾さんを通して、俺は彼女の過去を知っている。
実際、彼女とキスをして思ったんだ。
恋愛経験がゼロの訳でもないって。
俺のキスにはしっかり応えてるし、雰囲気的にも結構イイ感じな手応えはある。
だけど今一歩、殻に閉じ籠ってる彼女がいるんだ。
俺が『スキだ』と言ったら、その殻から出て来てくれるんだろうか?
今はまだ、その確信が持てない。
“勝負”なんて初めから存在してないんだ。
………初めから俺の負けが決まってるんだから。
だけど、俺が『スキだ』と言った所で、彼女が好きになってくれる保障はない。
だから、彼女が俺の事を好きになってくれるまで―――――。