How much?!
仕事は繁忙期真っ只中で、毎日目まぐるしく過ぎ去ってゆく。
気付けば、あっという間に彼女の誕生日になろうとしていた。
「はぁ、何て誘えばいいんだか……」
「はい?麻生チーフ、何か言いましたか?」
「いや、何でもない。早いとこ、商品を補充しろ」
「はいっ」
今日は隣県の視察に各店廻りをしている。
春彼岸用の催事場が作られているというのに、商品の陳列がいまいちパッとしない。
イベントや特売は勿論の事、売り場の商品の殆どがレイアウト表に則って陳列される。
だが地域によっては例外というのがあり、地域特有の売れ筋商品や抱き合わせ商品を並べて陳列する事もよくある。
けれどそれは、その店舗の店長の腕に掛かっていると言っても過言じゃないのに、この店の店長と来たら、全く以てそれが理解出来ていないのだ。
半日潰して売り場を整え、次の店舗へ向かう途中。
とある看板に視線が留まった。
忙しいを理由に、彼女にまだプレゼント買っていない。
誕生日は3日後。
明日にでも買おうと思っていたが、ちょっと寄ってみるか。
俺は引き寄せられるように1軒の店に入った。
「いらっしゃいませ~、何かお探しですか~?」
「適当に見ますんで」
入店と同時に鉄仮面のようなスマイルで近づく女を軽くあしらい、俺は店内をぐるりと廻った。
すると……。